金価格の上昇局面ははすでに終了した?短期間で急上昇しただけに、今後は急落の可能性も

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ところがその後、トランプ大統領は、4月9日に一律10%を超える上乗せ部分について、一転「90日間先送り」を発表。一方、中国との間では、お互いに報復関税をかけ合うなど、対立が激化。金価格は、先行き不透明感が改めて高まったことを受けて、再び上昇を開始した。

さらに、その後、トランプ大統領場その後「金融緩和に向けた動きが遅すぎる」と、FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエルFRB議長を痛烈に批判。議長解任の可能性にまで言及したことで、市場の混乱はさらに加速。逃避資金が金市場に一段と流れ込んだ、というのがここまでの流れである。

アメリカの金融市場全体に対する不信感を高まる中で、アメリカの長期金利は上昇、通常なら真っ先に安全資産としての需要が高まるはずのアメリカ国債に資金が集まらなくなったことも、金市場に対する需要を強める大きな要因になったと思われる。

「安全資産需要」は簡単には後退しない

ここ数日は、アメリカと中国がともに関税に対して歩み寄る姿勢を強めたこともあり、市場の不安が後退、売りが膨らみやすくなっているのも事実だ。いくら世界1、2位の経済大国といえども、アメリカと中国が、ともに100%超という現実離れした関税を長期間維持することなど極めて困難だ。

それゆえ、今後は不安心理が一段と後退すれば、安全資産としての金の需要が以前よりも後退することも十分にありうると、見ておいたほうがよいだろう。

もっとも市場はこうした動きに対して、過度に楽観的になっている可能性も否定できない。関税による自国経済への影響だけを考えれば、お互いに税率を大幅に引き下げるのが合理的な判断のはずだ。だが、国と国との交渉事に関しては、それぞれの国内事情や国としての面子というものあり、必ずしも合理的な判断が下されるわけではない。

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