格安SIMブランド47.7%の裏側。純粋なMVNOは2021年から横ばい、サブブランドが成長をけん引する実態

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2025年3月にサービスを開始したメルカリモバイルの永井美沙氏は、日本初の「ギガ売買」機能への確信を振り返る。メルカリが2013年から培ってきた「モノの循環」の体験を、通信サービスに応用したのだ。料金プランはシンプルに2つ。2GBで月額990円、20GBで月額2390円。余ったギガは1GB以上で1取引200円から自由に価格設定して出品できる。

メルカリモバイル
3月スタートのメルカリモバイルは「ギガの売買」という概念を導入した(筆者によるスクリーンショット)

実際、サービス開始から2カ月で契約者の3人に1人、5月時点では2人に1人がギガの売買を経験している。取引価格は1GBあたり平均36円から39円に上昇。出品から平均20時間以内に売れるという活発さだ。中には20GBを200円で出品する人もいるが、「価格設定は完全に市場に任せている」(永井氏)。

全体データ
4月には1GB36円と低価格で取引されているが、5月時点では39円へと上昇する傾向にあるという(筆者撮影)

メルカリの強みは2300万という巨大なユーザー基盤だけではない。すでにメルペイやメルカードと連携し、通信料金の支払いも可能。今後はロイヤリティプログラムなども追加予定だという。

「まだ完成形じゃない。どんどん機能を追加して、メルカリユーザーがやらない理由がないサービスにする」

永井氏は「バックトゥースタートアップ」の精神で、ユーザーの声を聞きながら素早く改善を重ねていく方針だ。メルカリの2300万ユーザーのうち1割が契約すれば、一気に業界トップに躍り出る計算。フリマアプリが培った「価値の循環」という思想が、通信業界にどんな変革をもたらすか注目される。

2025年、格安スマホに吹く追い風

2025年に入り、通信業界に大きな変化が起きている。NTTドコモとKDDI(au)が相次いで料金プランの改定を発表し、実質的な値上げに踏み切ったのだ。

ドコモは主力プランで電気やdカードなどとのセット割引を前提とした料金体系を打ち出し、単体での契約では割高になる仕組みに。KDDIも既存ユーザーを含む全面的な料金改定を実施した。さらに注目すべきは、両社とも小容量プランを相次いで廃止・縮小していることだ。

「(auの値上げは)正直むちゃくちゃ驚きました。既存ユーザーの料金を上げるなんて、この業界では一般的じゃなかった」と井原氏は振り返る。

皮肉なことに、この大手キャリアの値上げは格安スマホ事業者にとって追い風となっている。

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