地銀「預金増加率」ランキング!金利復活で預金争奪戦が勃発、預金シフト加速で38行が流出超過

6月10日(火) 25年3月期決算で判定!地銀「ジリ貧」ランキング
6月11日(水) 大幅悪化!地銀「評価損益」ワーストランキング
6月中旬 地銀「利ザヤ改善度」ランキング など
Coming Soon!
日本銀行が2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後の2回の利上げを経て、現在は政策金利が0.5%まで引き上げられている。日本に「金利ある世界」が復活し、大きな環境変化に直面しているのが銀行の「預金」だ。
マイナス金利時代は多くの銀行が普通預金の金利を0.001%に設定し、定期預金は0.02%程度。いずれも事実上0%だったため、個人が金利水準を考慮して他行に預金を移し替える動きは限定的だった。銀行も預金を集めたところで運用が困難だったことから、公金預金などの入札を手控えていた。
ところが金利が復活し、運用による収益機会が到来。1年定期を主戦場に銀行間で「預金獲得競争」が勃発し、個人の間でも高い利回りを求めて預金をシフトさせる"利回り狩り"が再開した。公金預金の入札には地域金融機関がこぞって参加し、各地で熱狂的な「公金争奪戦」が繰り広げられている。
「預金争奪戦」勝者の顔ぶれ
地方銀行の預金増加率ランキングを見ると、まさに「預金争奪戦」の実態が如実に現れている。東洋経済は地銀全97行を対象に、2025年3月末時点の預金量を集計。前期比の増加率を比較した。
2024年度の預金増加率でトップだったのが長崎銀行。年間増加率は9.02%だった。もっとも、預金残高が2813億円と地銀で2番目に少ないことから、預金獲得に本腰を入れると増加率も高くなりやすい。内訳を見ると、個人預金の増加率が3.1%にとどまるのに対し、法人預金が13.9%、公金が17.7%だった。
増加率2位は島根銀行。同行の預金量拡大の原動力は2022年9月に開設したスマホアプリ専用支店だ。業界最高水準の普通預金金利を武器に全国から預金を集め、2025年2~3月にかけては高金利の定期預金キャンペーンも展開して個人預金を積み上げた。スマホ支店の預金残高642億円は同行の預金量の12.1%に相当し、預金者の9割が山陰域外だという。