インフレが長期化し、米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅な利上げに踏み切らなければならなくなったとしたら、新興国にショックが広がるのは避けられない。その場合、事態の収拾に当たるのは誰なのか。国家を破綻の危機から救う役割を担うのは通常、国際通貨基金(IMF)だ。しかしIMFはそうした役目にうんざりしているとみえる。昨今のIMFは、債務問題を抱えた国を支援するという伝統的な役割を受け入れるのではなく、援助機関に変身しようとしているからだ。
もちろん、けちん坊といわれるよりは気前よく振る舞ったほうが楽しいに違いない。富裕国の国際援助規模はあまりに小さく、筆者も長年、貧困国の脱炭素を資金と技術の両面で援助する「世界炭素銀行」の設立を訴えてきた。だが世界の民間資金フローの規模は公的な融資を圧倒する。IMFの伝統的な融資プログラムは、金融危機対応上、今でも極めて重要な役割を占めているということだ。
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