ブックオフがひそかに始めた施策「ふるさとブックオフ」。書店のない町での取り組みが、とても感動的だったワケ
ちなみに興味深いのはブックオフ自体はこうした試みとは裏腹に「脱・古本屋」を進めていること。
2010年代中盤に売り上げが落ち込んだブックオフは、商材を古本やCD・DVDだけでなく、ブランド品や衣料品、トレーディングカードなどに拡大。現在では「総合リユースショップ」のような存在になりつつある。現在出店を進めている「ブックオフスーパーバザール」という業態は、こうした「総合リユース」的なブックオフの姿を顕著に表している。



この辺りのブックオフの変化は、私が以前この記事で詳しく書いたので、それを参照してほしい。
この記事で私は、ブックオフが「両利きの経営」を意識している、と書いた。
「両利きの経営」とは、企業が経営を進めていく際、既存事業の「深化」と新規事業の「探索」の両方が必要であるという経営セオリーのことである。近年、本業で進めているブックオフの商材の多角化は、既存の「リサイクル業」の知見を生かしつつその商材を変えるという意味でまさに「深化」と「探索」が合わさったものだといえる。

実は、それは「ふるさとブックオフ」でも同様だと筆者は思っている。
「本」というブックオフが扱ってきた商材を扱いつつ、同時に「地方創生」という新しい文脈にそれを乗せる。その意味でも同社が意識する「両利きの経営」をまっとうに行っているプロジェクトが「ふるさとブックオフ」だといえるのだ。
ふるさとブックオフは、ビジネスとしても意外と鉱脈がありそうだ
……というと、「とはいえ、ふるさとブックオフはCSR(企業の社会的責任)的な活動で、事業としての利益モデルはそこまで考えられていないんじゃないの?」という声も聞こえてきそうだ。
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