ブックオフがひそかに始めた施策「ふるさとブックオフ」。書店のない町での取り組みが、とても感動的だったワケ
確かに、こうした企業による地方創生の取り組みなどは、どこかボランティアめいた色彩が強くなってしまうことも確かである。
ただ、ふるさとブックオフは、その儲けの仕組みもなかなか面白い。この点については、同社でこのプロジェクトを行っている平居宏朗氏がインタビューの中で述べている。
平居氏がいうには、ふるさとブックオフは、ブックオフが地域の施設を「間借り」して、「委託販売」を行っている……という構造になっている。もともと同社は、保有する大量の中古本を地方自治体に購入してもらい、それを自治体のにぎわい創出に生かしてもらえないかを考えていたそうだが、それがうまく進まなかった。
そこで、この「委託販売」システムが考えだされた。これによって、地域としてはわざわざ本を買い取る必要がなく、公共施設の一部を貸し出すだけでそこににぎわいを生み出すことができる。
ブックオフとしては、ほとんどコストをかけずに自社の店舗を一つ増やせるも同然。さらに利用者側からすれば、街になかった書店が増えるから便利である。それに、木曽岬町のように子どもが楽しめる場所が増えることにもなる。

平居氏はこれを、「三方よし」のビジネスモデルと述べているが、まさにその言葉通りである。
すでに利益も生み始めている模様
事実、けっして大きいわけではないが、ブックオフ側にもある程度の利益がある。
とくに1号店については「収支的には100冊ほど売れたらいいなと考えていたんですが、8月・9月合わせて約800冊も販売できました」とのこと。莫大な利益ではないが、コストがかからないので、大きく損をし続けることもない。
さらに先ほども述べたように、ここ10年で全国の「町の書店」はその3分の2がなくなりつつあって、書店が1軒もない「無書店自治体」は全体の4分の1に達する。そう考えると「ふるさとブックオフ」は実はかなり拡大の余地がある業態(こういってよければ、だが)だといえる。
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