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「ドル安」で高騰したスイスフラン、円はかつての「安全通貨」仲間とどこで命運が分かれたのか?日本は貿易赤字転落、スイスが黒字維持のワケ

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スイスフランとはパフォーマンスが大きく変わった日本円(写真:GettyImages)
本記事は2025年5月3日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

トランプ政権の相互関税発表以降、米金利急騰とドル相場急落が併存する、さしずめ「ドル凋落相場」とも言える状況が続いている。この中で従前の円安基調も反転したかのように見受けられるが、結局は「ドル売りの割り振りがどの通貨にどの程度、分配されるか」という視点が重要である。

現状に関してアメリカから欧州への資金のローテーションが進んでいるとの評価は多くみられる。実際、為替市場ではスイスフランとユーロが騰勢を強めており、特に過去3年間のパフォーマンスを見るとスイスフランがず抜けていることも明らかである。

確かに、年初来で円は買われているが、かつて安全通貨の2トップと言われていたスイスフランと彼我の差は非常に大きい。

何が2つの「安全通貨」の命運を分けたのか

例えば、今起きているショックと重ねて表現されることが多いリーマンショックを挟んだ金融危機後の局面と比較してみよう。2007 ~2012年の推移をみると、当時の円はスイスフランよりも強い騰勢を誇っていた。

もちろん、ここから政治的要因に駆動される格好で円相場の騰勢が巻き返してくる可能性がないとは言えない。しかし、過去20年余りにおいて安全資産としての円の地位が弱まり、その分、スイスフランに需要が集まりやすくなったという側面は多分に認められるだろう。

少なくとも、ドルの実質実効為替相場(REER)がプラザ合意以来の高水準で推移する状況でもスイスフランスは堅調を維持し、円は下落を強いられたという事実は押さえておきたい。

当然、その差をもたらした要因は何かという議論になる。

日銀とスイス国立銀行(SNB)の政策金利は同水準であるから、金利差の議論はあまり意味を持たない。とすると、需給、物価、政府債務、地政学リスクといった各論に注目することになる。端的には貿易収支の存在を指摘するのが最も分かりやすい。

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