
中国の自動車市場でクルマの電動化、スマート化の流れが加速する中、(対応に後れを取っていた)外資系の合弁メーカーが中国のエンジニア主導で開発したニューモデルを投入するケースが増えてきた。
その最新事例の1つが、日本の日産自動車と中国の東風汽車集団の合弁会社である東風日産が4月下旬に発売したEV(電気自動車)の上級セダン「N7」だ。
「N7は中国の研究開発チームがコンセプト段階から開発した初めての車種であり、(海外市場にも輸出する)グローバルモデルでもある」。東風日産の關口勲・総経理(社長に相当)は、発表会でそう強調した。
プラットフォームも中国主導
外資系合弁メーカーの中国市場向けの新車開発は、かつては本国で開発された既存車種をベースに、中国のエンジニアが小規模な手直しを加える程度だった。しかしN7の開発では、クルマの内外装のデザインはもちろん、プラットフォーム(車台)やE/E(電気/電子)アーキテクチャーの開発も中国のチームが主導した。
さらに、N7のスマートコクピットや先進運転支援システム(ADAS)には中国の外部サプライヤーの先進技術が数多く組み込まれた。例えば車載システムの音声アシスタントには、中国のAI(人工知能)スタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)の生成AIなどを導入。上位モデルが搭載するADASには、自動運転スタートアップのMomenta(モメンタ)の最新システムを採用した。
東風日産は、中国メーカーの競合車種に遜色ないスマート機能を盛り込みながら、N7のメーカー希望価格を11万9900~14万9900元(約235万~294万円)に設定。価格面でも思い切った勝負に出た。その意図について、東風日産の製品企画本部を率いる尚順事氏は次のように述べた。
「この価格で利益を出すのは難しい。それでも、わが社は『失った数年間』を取り戻さなければならない」
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