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〈今週のもう1冊〉『脱・叱る指導 スポーツ現場から怒声をなくす』書評/処罰欲求、苦痛神話…叱る指導の問題点を明らかにする

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『脱・叱る指導 スポーツ現場から怒声をなくす』村中直人、大利 実 著
脱・叱る指導 スポーツ現場から怒声をなくす(村中直人、大利 実 著/カンゼン/1980円/264ページ)
[著者プロフィル]
村中直人(むらなか・なおと)/臨床心理士、公認心理師。子どもたちへの学習支援事業の立ち上げと運営に携わる。著書に『〈叱る依存〉がとまらない』など。

大利 実(おおとし・みのる)/スポーツライター。高校野球関連の著書が多数あり、『仙台育英 日本一からの招待 幸福度の高いチームづくり』(須江航著)の構成も担当。

この春、高校野球の強豪校で、名監督として知られた60代の男性による部員への暴行が発覚した。怒声を浴びせるような指導は時代に合わないとされる今も、スポーツの現場では指導者からの体罰や暴言が後を絶たない。

本書は、スポーツ指導現場の「叱る」について、スポーツライターの大利がさまざまな角度から問い、心理の専門家である村中がそれに回答する形式で掘り下げていく。

「処罰欲求」とうまく付き合う

叱る側の感情が爆発しやすい要因として、村中は「明確な権力格差」と「密室性」を挙げる。確かにスポーツ指導によく当てはまる構図だ。同時に、会社などの組織における上司と部下、小中学校の受験などを通じた親と子の関係もこれに類似する。

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