表面化したTOBは氷山の一角。その陰でさまざまな案件が画策されている。

(写真:Graphs / PIXTA)
経営陣の同意を得ないままTOB(株式公開買い付け)などを行う「同意なき買収」が急増。現場では、かつての“乗っ取り”を彷彿とさせるような、血で血を洗う壮絶な闘いが繰り広げられている。『週刊東洋経済』6月29日号の第1特集は「仁義なき企業買収」だ。
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「佐川急便、C&F買収に名乗り」──。5月17日、日経電子版にこんなスクープ記事が掲載された。
ちょうどAZ-COM丸和ホールディングス(HD)が、C&FロジHDの同意を得ないままTOB(株式公開買い付け)を実施していたタイミング。佐川急便を傘下に持つSGHDがこのディールに対抗提案を出し、C&F買収に乗り出すというものだった。
そもそもC&Fの経営陣は、丸和HDによるTOBに反発していた。2022年秋に買収話を持ちかけられたときから難色を示し、今年3月に正式に買収提案を受けた際にも「大口顧客の離反を招くリスクがある」としてTOBに同意しなかった。
ホワイトナイト探しに奔走
そのためC&Fは、水面下で対抗提案を出してくれる、いわゆるホワイトナイト探しに奔走。記事によれば4社から提案を受け、そのうちの1社がSGHDだったという。
これを受けてC&Fが「法的拘束力を有する複数の対抗提案を受領している」と発表したことから、大手メディアは、「すわC&F争奪戦か」とばかりに、残り3社の特定を急いだ。
しかし日経が報じた段階で、すでにSGHD1社に絞られていたのだ。
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