
柿木真澄(かきのき・ますみ)/丸紅 社長。1957年生まれ。東京大学法学部卒業、1980年に丸紅入社。電力部門に配属され、中東地域の大規模火力発電所を開拓。電力・プラントグループCEOなどを経て2019年から現職(撮影:梅谷秀司)
資源バブルの終了に、トランプ大統領の再登板――。総合商社を取り巻く外部環境が大きく変わろうとしている。本特集では、各社のトップインタビューに加えて、注目事業の最前線をリポートする。
減損を繰り返した米穀物大手ガビロンの売却で経営が安定し、洋上風力発電などで攻勢をかける丸紅。今後の成長に向けた土台づくりをどう進めるか。柿木真澄社長に聞いた。
回収資金を有効活用
──業績が好調です。2023年度の純利益は4714億円と10年前の2倍以上。ROE(自己資本利益率)は15%台です。
これまで丸紅は減損の頻度が他社より高かった。私が社長に就任した2019年度には、資源ビジネスやアメリカの穀物事業などで巨額の減損を出した。10年先を見据えて重荷をここで取り払うべきだと判断し、資産の見直しを思い切って進め、財務基盤を強化した。その結果が今、出てきている。
丸紅の長所は、いろいろなことにチャレンジし世の中の半歩先を行くこと。浮体式洋上風力もその一例だ。私が電力部門にいた頃は、投資効率を度外視し大型案件を狙っていくやり方だったが、今それは通用しない。限られた資金をいかに有効に使うかに注力する。
──2025年度からは新しい中期経営計画がスタートします。どのような成長戦略を描きますか。
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