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〈いまだ見えぬ突破口〉“デジタル黒字化”へもがく朝日新聞 編集現場の意識変化は日経の10年遅れ、「カルチャーの攪拌は経営責任だ」

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紙の部数減が続く一方、優良不動産を数多く保有する朝日新聞社の業績は堅調だ。事業ポートフォリオ、人材配置のバランスについてどんな課題意識を持っているのか(撮影:尾形文繁)

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戦後日本におけるジャーナリズムの代表格として、長く存在感を放ってきた朝日新聞社。しかし紙の新聞が構造的苦境に直面する中、絶えず毀誉褒貶にさらされてきた業界の雄も、かつて800万部を超えた朝刊部数が3月末時点で約327万部にまで減少している。
東洋経済では、デジタル化の旗振り役を務め、6月24日の株主総会を経て、朝日新聞グループ全体を統括するCEO(最高経営責任者)に就任予定の角田克社長(60)にインタビューを実施。その内容を3回にわけてお届けする。
中編となる本記事では、紙に代わる存在として育成に注力するデジタル版の現況やM&A戦略、社内の人材配置のあり方について考えを聞いた。

“総合ニュース”でのマネタイズの難しさ

――全社業績は堅調ですが、例えば2023年度決算を見てみると、本業であるメディア・コンテンツ事業の赤字を不動産事業の黒字で補う構図になっています。事業ポートフォリオのあり方は将来的に見直すべきだと考えていますか。

メディア・コンテンツ事業は確かに赤字だが、プリントメディア(紙の新聞事業)としては十分な黒字だ。デジタル系で利益を出せる形にしていくのが、朝日新聞ならびに朝日新聞グループのサステナビリティのど真ん中になる。ここのところ(デジタル系とメディア・コンテンツ事業全体)を2、3年で見れば最低限トントンまで持っていき、その先は黒になるように描きたい。

――となると、やはりデジタルへの投資の優先順位が高くなるのでしょうか。デジタル版の有料会員数は30万人程度で横ばい状態が続いています。

そうなる。(1月には)リニューアルも行った(編集部注・従来の電子版「朝日新聞デジタル」を紙と同じ「朝日新聞」へと名称変更し、アプリのデザインや機能を大幅に一新)。

デジタル版の会員数は少しずつ伸びてはいるけれども、ブレークスルーが起きるようなカーブを描くまでにはいけていない。

僕らの「総合ニュース」は、日経新聞さんのように実利に役立つとか、企業人事がよくわかるというものではない。この3年間ぐらい、総合ニュースのデジタルでのマネタイズの難しさを感じてきた。何をフックにしたらカーブが始まるのか、もがきの中にいるのが率直なところだ。

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