
痛恨の失言があった、24年4月の日銀植田総裁会見(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)
今週から植田和男日銀総裁の就任2年目を取り上げる。まずは2024年3月の異次元緩和の終了から7月末の利上げとその後の株価暴落までを検証する。
24年3月19日の金融政策決定会合で、日銀はマイナス金利だけでなく、長短金利を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)やETF(上場投資信託)の買い入れを含め、11年に及んだ大規模緩和をすべて解除した。
物価の上昇と高い賃上げの中で「一部だけを残す理由を合理的に説明できない」というのが全面解除の理由だった。ただ、企業の3月決算期末を控え、市場がどう反応するか読み切れない面もあり、「内心では怖かった。恐る恐る決めた」と幹部の一人は打ち明けた。
だが、幸いにも混乱は起きず、植田の評判はここから一時うなぎ登りとなる。当人にとっても全面解除は会心の出来だったと見え、4月9日の参議院では「基調的な物価上昇率が上がっていけば緩和の度合いの縮小も考えていかないといけない」と早くも追加措置をにおわせ、19日には米ワシントンDCでの講演で次のように話した。
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