墜落事故の「搭乗員らしきもの」発言は謝罪したが…事実誤認は訂正しない防衛省の"二重基準"

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記者会見で陳謝する中谷元防衛相(写真:時事)

防衛大臣会見には、原則としてテレビ、新聞、通信社など防衛記者会(記者クラブ)に属していなければ参加できない。フリーランスも参加が認められているものの、高い参加要件が設けられており、事実上は参加が困難だ。筆者はフリーランスの専門記者だが、ドイツの専門誌の記者という肩書で外務省のプレスパスを取得しているため参加できている。

防衛省は、大臣発言の訂正をめぐり「二重基準」を採っている。中谷元大臣は会見で筆者の質問に答える形で「米軍のC-17輸送機は消耗部品も一切生産されていない」と発言した。しかし、米空軍は同機を運用しており、消耗部品なしで航空機を運用することは現実的に不可能だ。それにもかかわらず、防衛省はこの事実誤認を訂正することを拒んでいる。

事実誤認を訂正しない姿勢

一方、愛知県犬山市のT4墜落で犠牲者の遺体に関して記者クラブメディアが問題視した際には、防衛省は即日会見をやり直した。対応の差は不自然であり、二重基準と言わざるをえない。

こうした基本的な事実誤認を訂正しない姿勢は、防衛大臣の発言と防衛省発表の信頼性を大きく損なうだろう。

3月14日の定例記者会見で筆者は石破茂総理がアメリカでのトップ会談でC-17輸送機に興味があると述べたことについて中谷大臣に質問した。その回答で中谷大臣は以下のように述べた。

「もうすでにアメリカでは、C-17は製造を中止をしてですね、部品も含めて、すべての調達ができない状況にあると聞いております」

確かにC-17の機体の生産は終了しているが、消耗部品などは生産されている。そうでなければ米空軍やその他のユーザーが運用できるわけがない。筆者は次の18日の定例会見でこれは誤りではないかと大臣に質した。それについて大臣は以下のように述べている。

「確認してみます。聞いたのは、新しいものを作る上において、部品の供給は行っていないというような話を聞いています」

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